がん患者のリンパ浮腫と運動|術後のむくみを改善する安全なエクササイズ

乳がんや婦人科がんの手術後、「腕や脚がむくんでつらい」というリンパ浮腫のお悩みを抱える方は多くいらっしゃいます。以前は「安静にすること」が推奨されていましたが、現在の医学的エビデンスでは適切な運動がリンパ浮腫の改善・予防に有効であることが明らかになっています。

リンパ浮腫とは何か

リンパ浮腫は、リンパ節切除や放射線治療によってリンパ管の流れが障害され、リンパ液が組織に蓄積する状態です。乳がん術後の約20〜30%、婦人科がん術後の約20%に発生します(日本リンパ浮腫学会)。

なぜ運動がリンパ浮腫に効くのか

筋肉の収縮がポンプとして機能し、リンパ液の流れを促進します。2010年のNEJM掲載の画期的な研究(Schmitz et al.)では、乳がん術後のリンパ浮腫患者が段階的な筋トレを行った結果、浮腫の悪化なく筋力・体力が改善しました。

安全なエクササイズの原則

  • 弾性スリーブを着用してから運動を開始
  • 強度は「やや楽」〜「ふつう」に保つ(ボルグスケール11〜13)
  • 運動後に浮腫が悪化した場合は強度を下げる
  • 水中運動(アクアビクス)は水圧がリンパ流を促進するため特に有効

段階的プログラム(週別)

Week 1〜2: 柔軟性・リンパ排液運動

腕・脚の大きな動き(円運動・屈伸)を各10回×2セット。目的はリンパ管の開通促進。

Week 3〜4: 低強度有酸素

ウォーキング20分、水中歩行15分。心拍数は最大の50〜60%以内。

Week 5以降: 段階的筋トレ

軽重量から開始し週ごとに5〜10%増量。スクワット・チェストプレス・ロウイング。浮腫の変化を毎回計測。

自宅でできるセルフケア

  • 用手的リンパドレナージュ(MLD): 医療者から指導を受けた手技で1日15分
  • 弾性スリーブの正しい着用(運動中・日中)
  • 患肢を心臓より高く保つ(就寝時の枕活用)
  • 体重管理: 肥満はリンパ浮腫を悪化させる

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